「法人化で社会保険」と「個人事業主のまま国民健康保険」どっちがお得?
個人事業主として起業して、事業が起動に乗ってきてから法人化するというケースは少なくありません。
法人化することによって、節税や信用度が上がるなどのメリットがある一方、法人化するためには費用がかかるなどのリスクもあります。
個人事業主と法人にはさまざまな違いがありますが、そのうちの一つが社会保険に加入できるかどうかということです。
法人化で社会保険に加入するのは、個人事業主のまま国民健康保険に加入しているのとどんな違いがあるのかを見ていきましょう。
国民健康保険と社会保険
まずは国民健康保険と社会保険とはそれぞれどのようなものなのか、ポイントを押さえておきましょう。
国民健康保険(国保)は、日本の社会保障制度です。社会保険などほかの保険制度に属さないすべての人が加入することになるため、無職の人や短時間労働者などは国民健康保険に加入します。
個人事業主や事業専従者も国民健康保険に加入することになっています。国民保険の保険料は世帯単位で計算され、扶養という考え方はありません。世帯内の加入者数によって保険料が変わってきます。
社会保険(社保)は、会社に正社員として勤めている人や、正社員の4分の3以上労働する人が加入可能です。
健康保険、年金保険、雇用保険、労災保険の4種類があります。
社会保険の保険料は個人単位で計算されます。認定範囲内の親族を扶養することができ、何人でも保険料は同じです。
法人化して社会保険に加入するメリット
個人事業主から法人化すると、原則として社会保険に加入することが義務付けられます。
社会保険に加入することで以下のようなメリットが得られます。
・年金の給付額が上がる
国民年金よりも厚生年金のほうが将来もらえる年金の額が高くなります。
・節税につながる
事業主が保険料の半額を負担するため、事業主の支出が増えます。
法人税は所得に対して課税されるため、所得が少なくなれば法人税額を抑えることにつながります。
・保険料を抑えることが可能
支払うべき社会保険料は役員報酬の金額に応じて決まっています。
保険料は段階的に設定されているので、上手に報酬額を設定すれば保険料を抑えることも可能です。
・扶養の範囲内であれば親族も加入できる
生計を同じくする配偶者などが事業専従者として個人事業主と同じ事業に従事する場合、国民保険を人数分支払う必要がありますが、社会保険なら扶養の範囲内であれば保険料を支払わず親族も保険に加入することができます。
・従業員を採用しやすくなる
社会保険に加入していることで応募者の信頼を得られるため、人材採用の面でもメリットがあります。
法人化で社会保険に加入する場合と、個人事業主のまま国民健康保険に加入している場合の主な違いについてご紹介しました。
保険の面で見ると法人化にはメリットが多いと言えます。とは言えもちろん法人化には費用面でのリスクもあり、保険のメリットだけでかんがえるわけにはいきません。
法人化のタイミングに迷う場合は、税理士など専門家に相談してみることをおすすめします。