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「法人化で社会保険」と「個人事業主のまま国民健康保険」どっちがお得?

「法人化で社会保険」と「個人事業主のまま国民健康保険」どっちがお得?

個人事業主として起業して、事業が起動に乗ってきてから法人化するというケースは少なくありません。

法人化することによって、節税や信用度が上がるなどのメリットがある一方、法人化するためには費用がかかるなどのリスクもあります。
個人事業主と法人にはさまざまな違いがありますが、そのうちの一つが社会保険に加入できるかどうかということです。
法人化で社会保険に加入するのは、個人事業主のまま国民健康保険に加入しているのとどんな違いがあるのかを見ていきましょう。

国民健康保険と社会保険

まずは国民健康保険と社会保険とはそれぞれどのようなものなのか、ポイントを押さえておきましょう。
国民健康保険(国保)は、日本の社会保障制度です。社会保険などほかの保険制度に属さないすべての人が加入することになるため、無職の人や短時間労働者などは国民健康保険に加入します。

個人事業主や事業専従者も国民健康保険に加入することになっています。国民保険の保険料は世帯単位で計算され、扶養という考え方はありません。世帯内の加入者数によって保険料が変わってきます。
社会保険(社保)は、会社に正社員として勤めている人や、正社員の4分の3以上労働する人が加入可能です。
健康保険、年金保険、雇用保険、労災保険の4種類があります。
社会保険の保険料は個人単位で計算されます。認定範囲内の親族を扶養することができ、何人でも保険料は同じです。

法人化して社会保険に加入するメリット

法人化して社会保険に加入するメリット

個人事業主から法人化すると、原則として社会保険に加入することが義務付けられます。
社会保険に加入することで以下のようなメリットが得られます。

・年金の給付額が上がる
国民年金よりも厚生年金のほうが将来もらえる年金の額が高くなります。

・節税につながる
事業主が保険料の半額を負担するため、事業主の支出が増えます。
法人税は所得に対して課税されるため、所得が少なくなれば法人税額を抑えることにつながります。

・保険料を抑えることが可能
支払うべき社会保険料は役員報酬の金額に応じて決まっています。
保険料は段階的に設定されているので、上手に報酬額を設定すれば保険料を抑えることも可能です。

・扶養の範囲内であれば親族も加入できる
生計を同じくする配偶者などが事業専従者として個人事業主と同じ事業に従事する場合、国民保険を人数分支払う必要がありますが、社会保険なら扶養の範囲内であれば保険料を支払わず親族も保険に加入することができます。

・従業員を採用しやすくなる
社会保険に加入していることで応募者の信頼を得られるため、人材採用の面でもメリットがあります。

法人化で社会保険に加入する場合と、個人事業主のまま国民健康保険に加入している場合の主な違いについてご紹介しました。
保険の面で見ると法人化にはメリットが多いと言えます。とは言えもちろん法人化には費用面でのリスクもあり、保険のメリットだけでかんがえるわけにはいきません。
法人化のタイミングに迷う場合は、税理士など専門家に相談してみることをおすすめします。

法人税額が控除される「雇用促進税制」とは

法人税額が控除される「雇用促進税制」とは

従業員を増やして事業拡大を考えている企業は、一定の要件を満たすことで税制控除の適用が受けられます。
雇用機会の拡大を目的として設けられた「雇用促進税制」について概要を知っておきましょう。

雇用促進税制とは

雇用促進税制は、文字通り企業による雇用を促進することを目的に設けられた特別税制です。
適用年度中に雇用者数を5人以上(中小企業等は2人以上)かつ10%以上増加させるなど、一定の要件を満たした企業に対して法人税の税額控除が適用される制度です。

一定の地域で無期雇用かつフルタイムの雇用者数の増加1人あたり40万円の税額控除が受けられます。
この制度は、平成23年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する各事業年度において適用できるものです。
適用を受けるには、あらかじめ「雇用促進計画」をハローワークに提出する必要があります。

雇用促進税制の適用要件

雇用促進税制の適用を受けるには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

・青色申告書を提出する事業主であること
適用対象となる企業は、青色申告法人です。
資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人や、従業員数1,000人以下の法人は中小企業となり、雇用者の増加数の要件が2人以上とされます。

・適用年度とその前事業年度に、事業主都合による離職者がいないこと
事業主都合による離職とは、リストラなどによる解雇、事業主から直接または間接に退職を推奨されたことによる離職などがあてはまります。
業主都合による離職にもかかわらず、自己都合離職としていることが判明した場合は、雇用促進税制の対象になりません。

・適用年度に雇用者の数を5人以上(中小企業の場合は2人以上)かつ 、10%以上増加させていること
地域雇用開発促進法に規定する「同意雇用開発促進地域(有効求人倍率が全国平均の2/3以下の地域)」での、フルタイムかつ無期雇用の場合に限られます。
東京都や大阪府、愛知県などの地域は対象外となっています。

・適用年度における給与等の支給額が、比較給与等支給額以上であること
比較給与等支給額とは、以下の式により計算した額です。
前期の給与等の支給額 + (前期の給与等の支給額 × 基準雇用者割合 × 30%)

前期の給与等の支給額には、当期末に高年齢雇用者に該当する者に対する支給額は含まれません。

・風俗営業等を営む事業主ではないこと
「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」に定められている風俗営業および性風俗関連特殊営業(キャバレー、ナイトクラブ、麻雀店、パチンコ店など)は対象外となります。

雇用促進税制の適用を受けるには

雇用促進税制の適用を受けるには

この制度の適用を受けるためには、適用年度開始後2ヵ月以内に「雇用促進計画」を作成し、ハローワークに提出しておきます。
適用年度終了後2ヵ月以内にハローワークに雇用促進計画の達成状況の確認を求め、確認を受けた雇用促進計画の写しを確定申告書等に添付して、税務署に申告することで税制控除を受けることができます。
雇用者を増やしていく予定があって要件を満たすことができる場合は、雇用促進計画の提出を忘れずにおこなっておきましょう。

事業主の消費税の納税義務とは? 消費税と納付義務について

事業主の消費税の納税義務とは? 消費税と納付義務について

事業主になると、ただ個人に発生する消費税を支払うだけではなく、納税をしなければいけません。

しかし、税金の仕組みをきちんと理解していないと、消費税が免除される機会を逃してしまうことも考えられます。
ここでは、消費税の基本的な仕組みと、納税義務が発生する条件や免除の内容などについてご紹介します。

事業主にとっての消費税

一般の消費者の場合、消費税はサービスを受けたり物を購入したりすることに対して発生し、「支払う」ことになるものです。
しかし事業主になると、消費者が支払った消費税を、税務署に申告し「納付する」という義務が発生するのです。

消費税の基本的な仕組み

消費税は平成元年4月より導入されています。
基本的な仕組みは以下の通りです。

■課税対象となる取引
・個人事業主が事業として行う取引
・商品の販売や資産の貸付、サービスの提供を行う取引
・日本国内で行われる取引

以上の取引が課税対象となります。
日本から輸出する場合は輸出免除となり、消費税が免除されます。

納税義務はどうやって判定される?

個人事業主は国内で行った課税資産の販売などについて消費税の納税をしなければいけません。
しかし小規模事業者の場合、納税事務負担への配慮などから一定規模の事業者には納税の義務が免除されます。

■納税義務の免除
課税期間にかかわる課税売上高が1000万円以下の場合は、納税義務が免除されます。
免除された事業者を「免税事業者」と言います。
免税事業者になるかどうかは、前々年度の売上によって決まります。
つまり2年前の事業年度が基準となっているのです。

また、前年の売上の影響も受けます。
前々年度の課税売上高が1000万円を下回っていても、特定期間(前年の1月1日から6月30日)の課税売上高あるいは、給与支給額が1000万円を上回った場合は、課税対象となるため注意が必要です。

・初年度は免税事業者となる
営業を開始した年は前々年度の売上がありません。
このため新規の事業者の場合、初年度は消費税の申告や納税は不要となります。
また、年の途中に事業スタートした場合、たとえば8月から営業を開始した場合は8月~12月が事業年度として計算されます。

節税にもなる? 簡易課税制度

簡易課税制度とは課税売上高が5000万円以下の事業者が利用できる税金の区分です。
仕入れにかかる消費税額を細かく算出する必要はなく、課税売上に対して一定の割合をかけて納税額を算出することができます。

計算式
『 納付税額 =( 課税売上高×消費税8%)-〔(課税売上高 × 消費税8% )× みなし仕入れ率 )〕 』

・みなし仕入れ率
事業種ごとに、簡易課税を計算する値が定められています。
第1種事業:卸売業(90%)
第2種事業:小売業(80%)
第3種事業:製造業、建設業、熱供給業など(70%)
第4種事業:飲食店業、1・2・3・5以外の事業(60%)
第5種事業:運輸・通信業、サービス業(50%)
第6種事業:不動産業(40%)

第6種事業:不動産業(40%)

第6種事業:不動産業(40%)

税金の計算や手続きは非常に手間が掛かるものですから、事業をスタートして間もない間は簡易課税制度を利用するとよいでしょう。
事業主の方は以上に紹介した基本的な仕組みから、税金の計算方法や、利用できる制度について詳しく知っておくようにしましょう。
節税対策につながります。

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クリニックを黒字経営するために! 経費について知ろう

クリニックを黒字経営するために! 経費について知ろう

クリニックを経営するには、医療面の知識だけでなく経営者としての知識も兼ね備えなければいけません。
となれば、「固定費」や「変動費」など、さまざまな専門用語を理解して経営方針を考えなければいけません。
ここでは、経営するうえで必要な用語の一部を紹介し、黒字経営にするためにおさえておきたいポイントをご紹介します。

経営する上で知っておくべき用語

・変動費
変動費とは、売上に対して変動する費用のこと。
クリニックの経営では医療収益に比例して増えていきます。
たとえば歯科診療の場合、患者数が増えれば医業収益が増えますが、歯科材料や医薬品も必要です。
この歯科材料や医薬品が変動費に該当します。

・固定費
売上に関係なく発生する費用のことを固定費と言います。
クリニックの経営では、賃貸費用や職員の人件費などが該当します。

また、変動費に区分されない減価償却費も固定費として考えて問題ありません。
減価償却費とは、企業が長期間利用する資産のこと。
歯科医の場合は、診療で使う歯科ユニットチェアなどが固定費として計算できるということです。

変動費と固定費に分ける理由

経費を変動費と固定費にわけることによって、損益分岐点などといったクリニックを経営、発展・成長させるために必要な判断材料がはっきりし、しっかりした管理会計を行うことができるのです。

※管理会計とは
企業会計の一つで、会計情報を経営者の意思決定や業績測定に役立てることを目的としています。

医業収益でおさえておきたい利益の関係

診療収入などで医業収益が増えれば利益も当然増えるものですが、医業収益と同じ分だけ利益が増えるわけではありません。
また医業収益が下がった場合も同様です。
医業収益と利益は次のような関係で表すことができます。

『利益 = 医業収益 - 変動費 - 固定費』

損益分岐点の重要性

開業する場所の立地を考える

医業収益と経費が同じ金額になり、利益がゼロとなる点を損益分岐点といいます。
赤字になるか黒字になるかは、この損益分岐点よりも医業収益が上回るかどうかによって変わります。
いくら医業収益があってもこの経費(固定費と変動費)を超えていなければ赤字になるのです。
利益を効率よく上げるには医業収益を上げることが一番単純な方法ですが、経費を下げて損益分岐点を下にずらすという方法もあります。

クリニック経営では、売上に対して変動する流動費の項目は他の業種よりも少なく、削減しても影響は小さいという特徴があります。
固定費を下げて、赤字と黒字を分ける損益分岐点をいかに下げるかがクリニック経営のポイントと言えるでしょう。

クリニックを開く前に知っておくべき! 開業場所のポイント

クリニックを開く前に知っておくべき! 開業場所のポイント

クリニックを開業して成功するかどうかは、開業する場所というのも重要なポイントになります。
開業してから場所を変更することは困難ですから、ベストであると自信が持てる場所を選びたいものです。
ここでは、クリニックの開業場所を選定する際のポイントをご紹介します。

まずは開業エリアを絞る

初めて開業する場合は、どうしても物件の価格や賃料、建物の面積など物件についての情報ばかり先に気にしてしまうもの。

しかし、それよりも、まずはクリニックが建つエリアについてよく検討をすることが大切です。
エリアは区や市で考えるだけでなく、「○○線沿線」や「○○号線沿い」といったように鉄道や道路を基点として考えるのも一つの方法です。
エリアを絞りこむ際は、以下のポイントを参考に検討しましょう。

・人が多く集まる地域であること
・初めての人でも行きやすく、分かりやすい場所であること
・競合医療機関が少ない場所であること
・将来性や活気のある地域であること

開業する場所の立地を考える

開業する場所の立地を考える

エリアを絞り込んだら、次に物件の立地を考えましょう。
具体的に場所を絞っていくことになります。
開業に適している場所の特徴を以下でご紹介します。

・駅前
電車やバスなど多くの人が利用する駅前は、人の往来が多いため地域住民の固定客はもちろん、新規の患者さんも見込めます。
しかし駅前は新規参入者が多く、競争が過熱しやすいため、常に経営方法に注意しておくことが必要です。
駅前で開業する場合は、駅のホームから看板が見えるようにすることや、駅につながるメインの道路に面していることなど、細かな点に注意しなければいけません。

・商業施設周辺
人が集まる商業施設周辺にクリニックを構えることで、商業施設の利用者が足を運びやすくなるため、開業してから早期に固定客を獲得できる可能性があります。
その際は駐車場を設置するなど足を運びやすくする工夫することがポイントです。

・商業施設内
スーパーや商業ビル内にクリニックを開業します。商業ビルには駐車場やバスなど交通の便が優れているため、来院する患者さんにとっても便利です。
また、商業施設内はテナント数が限られているため、競合相手が新たに参入してくる可能性が低く、安心して経営をすることができます。
しかし、通常の賃貸物件よりも賃料が高額になることが多いため注意が必要です。

・メディカルモール
医療ビルとも呼ばれる、他の医院や診療所が集まって開業する施設です。
複数の医院が集まるため集患しやすいというメリットがあります。
メディカルモールは管理会社が運営を支援する場合と、各診療所や医院が自由に運営する場合もあるため、事前に運営方針の確認が必要です。

クリニックを開業するときは、設備や物件の広さなどに注意が向いてしまいますが、立地が大きく影響することを覚えておきましょう。
また良い立地を選んだあとは、患者さんがどんな方法でクリニックを訪れるのかを考えることが大切です。
駐輪場がどれくらい必要か、駐車場が必要かまで考えることがポイントです。
今回ご紹介したポイントを参考に、開業場所を検討し、後悔のない立地を選びましょう。

個人事業主が法人化するタイミングはどんな時?

個人事業主が法人化するタイミングはどんな時?

個人事業主を続けていると、どこかで一度は考えることであろう「法人化」。
事業を法人化する際、どのようなタイミングで行うのが良いのでしょうか。
ここでは個人事業主が法人化するタイミングの考え方について、法人化のメリットも交えつつご紹介していきます。

1.法人化するタイミングと税金

法人化すると次のような税金上のメリットが生まれてきます。

・個人事業税から法人事業税に
・役員報酬の経費計上可
・家族での所得分散可
・給与所得控除を利用可
・繰越欠損金が3倍に
・退職金の設定可
・賃貸収入を経費計上可
など

法人化には上の様な税金上のメリットがあり、節税につながることがあります。

2.法人化するタイミングと信用

法人化することで、個人事業主とは比べ物にならないほどの「信用」が得られます。

法人化し信用が増すと、
・自社で開発・販売する商品やサービスなどを、消費者へ売りやすくなる
・大手企業等からも認められやすく、顧客開拓や業務提携がしやすくなる
・金融機関等からも認められやすく、融資が受けやすくなる

などのメリットが生まれてきます。
このため事業を更に成長させるためにこれまで以上の信用が必要となった時が、法人化する一種のタイミングと言えるでしょう。

3.法人化するタイミングとランニングコスト

法人化すると、社会保険の加入が必要となる、赤字でも法人県民税、市民税が発生する、新たに登記手続きの費用が発生するなど、何かとランニングコスト的な出費が伴います。

このため法人化後に発生するコストを賄えるだけの資金が十分に溜まっているかも、法人化のタイミングを計る上で考慮したい部分です。

4.法人化するタイミングと資金調達

法人化するタイミングと資金調達

これは株式会社として法人化する場合に限った話です。
株式会社を設立し株式を発行することで、資金調達の窓口を広げられ、多くの資金が調達できます。
今後の事業を進める上で、株式による資金調達が必要と判断した場合も、法人化するタイミングと言えます。

ただし株式会社化すると事業の決定権が株主に縛られるなど、デメリットも増えてきますのでその点も十分に考慮したいところです。

法人化するタイミングとしては以上のような事が挙げられます。
もちろん法人化する事によりデメリットも生まれてきますが、ある程度事業が軌道に乗ると法人化によるメリットの方が大きくなる事が多いです。
特に事業が既に大規模になっている場合や、これまで以上に事業を拡大したい場合などは、法人化するタイミングと言えるでしょう。

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個人事業から法人化した場合の税金面でのメリット

個人事業から法人化した場合の税金面でのメリット

個人事業がある程度軌道になると、考える必要が出てくる「法人化」。
個人事業を法人化すると、これまでには得られなかった様々なメリットが生まれてきます。

特にポイントとなるのが税金。
ここでは個人事業を法人化した場合の、税金面でのメリットをご紹介していきます。

1.役員報酬を経費で落とせる

法人化すると経営者は役員となります。
役員への所得・給料は「役員報酬」として経費として計上できますので、その分が節税につながります。

2.所得を分散できる

法人化すると、例えば配偶者や子供を役員とし、それぞれに役員報酬を分散することもできます。
つまり、一人当たりの所得額をコントロールすることができ、やり方よっては家族としての税負担を軽減できることもあります。

3.給与所得控除が使える

法人化すると、経営者が得た給料(役員報酬)の一部を「給与所得控除」として控除できます。
個人事業であっても「所得控除」はありますが、給与所得控除のほうが控除できる額が大きくなることが多いです。

4.繰越欠損金が3倍に

法人化すると繰越欠損金の繰越年数は9年間に延長されます。
個人事業の場合は3年間ですので3倍です。
これについてはメリットでしかなく、特に先行きが不透明で赤字がでる可能性の高い事業の場合は大きな恩恵となってきます。

5.役員退職金を設けられる

個人事業の場合、「退職金」というものは設置できませんが、法人化すると経営陣に「役員退職金」といった形で退職金を設置できますので、将来への保険を作ることができます。
かつ役員退職金の一部の額は非課税にする事ができますので、節税にも繋がります。

6.賃貸収入を経費計上できる

賃貸収入を経費計上できる

法人として所有している土地建物を貸し、賃貸収入を得た場合、その分を法人側の経費として計上できます。

その上で賃貸収入を経営者側に回すことができます。
個人事業の場合は、家賃収入を経費計上することができないため、この点も法人化することで節税につながります。

個人事業を法人化すると以上のような税金的なメリットがあります。
法人化すると事業をする上での縛りが増えるなどデメリットもありますが、税金面ではメリットになる事が多いので、事業が軌道に乗ってきたら一度法人化を検討してみてはいかがでしょうか。

個人クリニックを事業承継する上でのやり方やポイント

個人クリニックを事業承継する上でのやり方やポイント

加齢や病気などの諸事情で今経営している個人クリニックの運営が厳しくなった場合、親族や第三者に対して「事業承継」という形で受け渡すことができます。
ここでは事業承継のやり方やポイントを、親族へ承継するケースと、第三者に継承するケースに分けご紹介していきます。

1.個人クリニックを親族に事業承継する場合

子供や配偶者など、自分の親族に個人クリニックを事業承継する場合は、主に次のような方法があります。

・クリニックの土地建物の事業承継
土地建物を事業承継する場合、「譲渡」「贈与」「賃貸」の3パターンが選べます。

譲渡・・・受け渡す際に「譲渡所得税」が親側に発生します。子供側は一部を減価償却費として償却可能。
贈与・・・贈与の場合は、その一部を「贈与税」として子供側が負担することとなります。
賃貸・・・親子間で賃貸契約を結ぶパターン。親側は「賃貸料」を得られ、子供側はその分を経費として計上可能です。

・医療機器の事業承継
医療機器についても、「譲渡」「贈与」「賃貸」の3パターンが選べます。
考え方は前述した土地建物と基本的に同じです。

・負債や借入金の事業承継
負債や借入金は、親子双方の合意の下で、子供側へ承継させることも可能です。

・相続を利用する方法も
もしも自分の死後に事業承継したい場合は「相続」を利用できます。
相続によってクリニックの土地建物、医療機器などをそのまま相続させることが可能ですが、子供側に「相続税」が発生します。
相続を利用する場合、遺言書にその旨を記載する必要があります。

2.個人クリニックを第三者に事業承継する場合

親族ではない第三者にクリニックを事業承継したい場合は、「土地建物」「医療機器」「営業権」などの価値を換算し、「売却」もしくは「賃貸」で選択できます。

クリニックの価値の換算は素人では難しく、損失やトラブルも起きやすいため、第三者に事業承継する場合は、専門家を間に挟んだ上で進めるのが賢明です。

3.事業承継をする際は「廃業手続き」を

こんなことも相談できる!

親族、第三者どちらに事業承継する場合においても、事業主自体が変わるため、親側は「廃業手続き」をする必要があります。

また承継する子供側や第三者側は、
・開業手続き
・保険医療機関の指定申請書
・社会保険関係の新規適用届
・診療所開設届

などの届け出を新たに行う必要があります。

事業承継は以上のようなイメージとなります。
どういった形で事業承継するかによって、親側、子供及び第三者側で利益や負担も変わってきますので、双方の現状に合わせた方法で事業承継することが大切です。

個人クリニックを事業承継する上でのやり方やポイント

知っておきたい、クリニックの「税務調査」と対策

個人でクリニックを経営する場合、必要不可欠な存在となってくるのが「税理士」。
税理士と言っても様々な経歴やバックグラウンドを持つ方がおり、クリニックに合った税理士を選ばないと、十分なサポートが得られないことがあります。

ここではクリニックが税理士を探す上でのポイント・選ぶ上でのポイントをいくつかご紹介していきます。

1.税務調査とは?

「税務調査」とは、そのクリニックで税金が正しく計上され、収めているかのチェックのようなものです。
税務職員があなたのクリニックを訪れ、税金まわりを調査します。
税務調査というと家宅捜査され逮捕されるイメージを持つ方もいるかもしれませんが、基本的には確認ですので、そこまで怯える必要はありません(ただし余りにも悪質な場合は、検挙されるケースもあります)。
もし税金の申告漏れなどが発覚した場合は、後日その分を収める形となります。

なお税務調査は全てのクリニックに行われるわけではありません。
たとえば急に収益が激減したり、急に経費が増えたりなど、不自然な収支状況になっているクリニックが税務調査の対象となりやすいです。
また長期間(5年以上)税務調査が行われていないクリニックも対象となることがあります。

2.税務調査では何が行われる?

税務調査では帳簿や資料をもとに収支状況をチェックされます。
主に次のような資料の確認が求められることがあるため、用意しておく必要があります。

・決算申告書、総勘定元帳
・現金出納帳、預金通帳
・給料台帳
・源泉徴収台帳
・リース、家賃等の契約書
・経費として落としたレシート
など、お金の流れが確認できる資料の提示が求められることがあります。

これらの資料をもとに、計上した収入に誤りはないか、支出に誤りはないか、経費の算出に誤りはないかなどをチェックし、税金の申告漏れや虚偽を確認します。

3.税務調査での対策

こんなことも相談できる!

税務調査が行われる場合、次のような対策を事前に図っておくことをおすすめします。

・資料の用意
税務調査が行われる場合、事前に顧問税理士に通達がなされます。
税理士と相談の上、必要となる資料を洗い出ししっかりと準備しておくことが大切。
資料が足りないと疑惑の目で見られることもあり、税務調査自体が長引くこともありますので何かと面倒になります。
そのため、事前にしっかりと準備しておくようにしたほうが良いですよ。

・クリニックの整理
クリニック内に事業と関係ない書類や印鑑、通帳がある、経費で計上されていない高額な製品や機器があるなどすると、疑惑の目で見られやすくなります。
税務調査では机やロッカーなどを確認されることもあるため、クリニック内は税務調査の前に一度整理しておくことをおすすめします。

・心構え
税務調査にあたって、調査を拒否するような反抗的な態度をしたり、曖昧な返答をしたりすると疑惑の目で見られやすくなります。
快く対応できるようにマインドを切り替えておくことも事も大切です。

税務調査はあくまで確認ですので、正しく資料を提示し、正しく受け答えをし、税申告に誤りがないことを伝えられれば、問題なくクリアできます。
怯えず慌てず、冷静に対応することが大切です。細かなアドバイスが欲しいという方は、一度当事務所にご相談されてはいかがでしょうか。

クリニックでの間違いのない税理士の選び方

クリニックでの間違いのない税理士の選び方

個人でクリニックを経営する場合、必要不可欠な存在となってくるのが「税理士」。
税理士と言っても様々な経歴やバックグラウンドを持つ方がおり、クリニックに合った税理士を選ばないと、十分なサポートが得られないことがあります。

ここではクリニックが税理士を探す上でのポイント・選ぶ上でのポイントをいくつかご紹介していきます。

得意分野を確認する

税理士には、クリニックや医療業界に強い税理士もいれば、IT業界に強い税理士、芸能業界に強い税理士など様々です。
特にクリニックの場合は一般法人と税制が異なり特殊であるため、全くの異業種向けの税理士を選んでしまうと、税申告や書類作成がスムーズに進まず、場合によっては税関連のトラブルに巻き込まれることもあります。

ここでポイントとなるのが、「得意分野」や「実績」です。
税理士事務所のホームページや広告資料に、その税理士及び税理士事務所がどの分野を得意としているか、どのような分野に実績があるかが記載されていると思いますので、その点を充分チェックしてみてください。

大手医療機関での担当実績が豊富であったり、医療分野を古くから担当している税理士、税理士事務所であったりすれば、問題ないでしょう。

ドクターの人脈から選ぶ

既に個人クリニックを経営している、先輩ドクター、後輩ドクター、知人ドクターの方などにおすすめの税理士を紹介してもらうのも一つの手です。
彼らは起業時に既に税理士探しを経験していますし、顧問税理士から医療業界の税理士事情を聞かされていることも多いため、いくらかの知識をもっているはずです。
そういった同業の方々から税理士を紹介して貰ったり、クリニックでの税理士探しのコツを聞き出したりすることも大切でしょう。

税理士紹介サービスで選ぶ

「税理士紹介サービス」は、エージェントがクリニックに合った税理士を探し紹介してくれるマッチングサービスです。
イメージとしては転職エージェントのようなもの。

税理士紹介サービスのエージェントは、紹介する税理士の経験・スキル・人柄を事細かに押さえており、最適な税理士を選び紹介してくれます。
紹介する税理士も優良な方を揃えていることが多いため、間違いも起きにくいです。
なかなか良い税理士が見つからない場合は、この手のサービスを利用してみるのもいいでしょう。

無料相談で見極める

こんなことも相談できる!

経験や実績のある税理士でも、対応が乱雑であったり性格に問題があったりで、付き合いにくいことがあります。
そのため、無料相談でその税理士や税理士事務所の生の姿を見ておくことも大切です。

無料相談では文字通りお金は掛かりませんので、不安な方は一度税理士事務所の無料相談を受け、税理士との相性を確認してみるのがよいでしょう。

以上がクリニックが税理士を選ぶ際のポイントとなります。
税理士は長く付き合っていくものですし、クリニックは税制が特殊でもあるため、適した税理士を選びたいところ。
様々な方法を駆使して、ぜひ自分に合った税理士を探してみてください。